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● 不定形成果物に対する相互評価の勧め(1)

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埼玉県立越ヶ谷高等学校
中島 聡

 学習指導要領の情報Cには、「内容の取り扱い」の中で生徒同士の相互評価
を取り入れることが明記されている。本校でも情報の授業が始まった3年前(初
年度だけ情報A、2年目からは情報C)から、不定形成果物の評価に生徒間の
相互評価を利用している。これは、格別学習指導要領に縛られて行っているこ
とではない。この方法に優位性を感じたため、試行錯誤しながら授業で使い始
めた。そして今は非常に有効な方法であると確信している。ここでは、実践か
ら得られた相互評価の利点や、運用に不可欠なシステムについて、さらには運
用時の留意点や課題などについて述べることとする。

○ 相互評価の利点

 まずは、相互評価で大きな利点と考えられることを4つほどあげてみる。

1.多数に向けての情報発信の評価
 不定形な成果物は、多数に対する情報発信を想定したものがほとんどである。
プレゼンテーションや紙による成果物も多数に向けての発信である。さらにWeb
ページとなると“不特定”多数に向けての発信になる。受け手は様々であり、
当然として評価の価値観も基準も様々である。その中で、単一の価値観や基準
による評価に大きな意味があるとは思えない。

2.自己評価は自己満足評価
 授業では「Web ページの作成」を行っている。作成時の生徒の様子を見てい
ると、新しいテクニックを見つけるとそれに飛びつき多用する傾向が大いに見
受けられる。その結果、成果物は技巧的になり、作者本人は満足気である。し
かしながら、情報伝達の観点から見て、そのテクニックが“効果があった”と
評価されるとは限らない。むしろ、実際には逆効果の場合が多いのが現実であ
る。

3.客観的、論理的に評価する訓練
 プレゼンテーションの出来と内容は必ずしも一致しない。見た目の良さと、
内容は全くの別物である。どちらか片方の出来に、他方の評価が引きずられて
しまうのは間違った判断である。が、しばしば起こることでもある。冷静な判
断を行うには訓練が必要である。明確な評価項目を与え、それに従って評価す
ることで訓練の一つになると思う。

4.連続相互評価でフィードバック能力の評価
 授業では、相互評価を単発で行っていない。相互評価の結果を参考に成果物
を再作成させ、この再作成された成果物に対しても相互評価を行っている。そ
して、成果物の変化から、評価が作品にどう活かされたのかを見ている。コミ
ュニケーションは相互に行われる。成果物の発信も、それに対する評価も、一
方通行のまま終わるのでは真のコミュニケーションではない。連続評価は非常
に有意義な方法ではあるが、今回のテーマとは離れるのでこれ以上は触れない。
連続評価についての詳しい資料は、次のURLから入手可能である。
http://members3.jcom.home.ne.jp/tadashi-nakajima/report.html
(つづく)