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● 不定形成果物に対する相互評価の勧め(2)

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埼玉県立越ヶ谷高等学校
中島 聡

 前回は、相互評価の利点について述べた。今回は、実際の運用で必須となる
システムについて述べることにする。

○ システムを使って効率的かつ効果的に運用

1.データ数からの必要性
 相互評価を行うのに、必要かつ重要なことが、システムであると思う。確か
に、紙などのアナログメディアでも、また電子メールや表計算を利用しての集
計でも不可能ではない。しかし、集計の手間を考えると、評価に参加する生徒
数に応じて評価項目の規模が自ずと限られてしまう。本校では、一つの成果物
について最大18項目の評価を、クラス全員分に対して行わせている。この場合、
生徒一人が評価する項目は延べ700を越え、クラス全体では2万8000以上となる。
さすがにこのくらいの規模になると、仮令コンピュータを利用したとしてもカ
ット&ペースト等の手作業では厳しい。入力から集計までを行うシステムがな
ければ、効果的で有意義な相互評価を行うのは現実的に無理であろう。

2.入力時の認証
 他者の成果物を評価するからには、それなりの責任が生じる。しかもその結
果を成績に反映するとなれば、責任はより重くなる。これを匿名にしてしまう
と責任感が薄れてしまい、安易な評価になりかねない。評価者と評価内容の対
応関係を判別できるようにして、責任を持って評価を行うように促さなくては
ならない。特に、これは不正な評価に対する最大の抑止力となりうる。したが
って、評価入力時には、必ず認証を行うものでなくてはならない。

3.評価に集中できる操作性
 一般的なソフトウェアと同じことが要求されるが、その中でも利便性と反応
性が重要である。使い難い、入力内容の変更が簡単に行えないなどは言うまで
もないが、登録や集計に時間がかかるようなものもいただけない。生徒がスト
レスなく評価に専念することができるものでなくてはならない。

4.評価内容の客観的確認
 様々な不定形成果物の評価を続けて行くと、基準がずれたり、ぼやけてきた
りしてしまう。これは評価のプロである教員でも起こりうることで、ましてや
素人の生徒となればゆゆしき問題まで発展することもある。このような状態を
多少でも回避するための一つの手段として、評価の途中で自己の評価状況を分
析し、基準の再確認を行える機会を与えることが必要だと考える。評価した成
果物の数がある程度になったときに、評価の分布やコメント文を客観的に確認
して分析できる機能があることが望ましい。

 上記の4つの事柄を満たすべく授業では、オープンソース&フリーソフトウェ
ア(具体的にはLinux、OpenLDAP、PostgreSQL、Apache、PHP)のシステム上に自
作のPHPスクリプトを乗せて使用している。3年間の累積でデータは140万レコ
ードを優に越えているが、評価の登録には1秒以内、クラスの集計でも30秒ほ
どで終了する。なお、自作のスクリプト(IPME)に関する資料は、次のURLから
入手可能である。
http://members3.jcom.home.ne.jp/tadashi-nakajima/ipme.html
(つづく)